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月刊土地家屋調査士 2004年12月号(No.575)
リレー随筆 
大災害と専門家による復興支援 阪神・淡路まちづくり支援機構に見る専門家の連携
連合会副会長 松岡直武

http://www.chosashi.or.jp/docs/bin/kaihou2004/text12/200412_z.htm より

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1. はじめに
 今年はどうしてこんなに大災害が続くのでしょうか。入梅以来、九州、四国、近畿、東海、東北、中国、北陸と、日本列島の至る所で相次ぐ風水害は10月になって、その頂点に達したかと思われるほどの惨禍を各地にもたらし、地域の住民の生活の本拠と、地場産業の存続をも憂慮されるほどの打撃の程が連日報道されています。
 そして10月23日夕食前の中越地方で発生した大震災では典型的な地方都市・中山間地域災害として、多くの犠牲者が出、深刻な被災状況が連日報道されています。
 会員諸兄、ご家族ご友人の方々にも突然の大災害にあわれた方が少なくないとのことですが、不幸にして犠牲になられた方々に心から哀悼の意をささげ、多くの被災者の方々にお見舞いを申し上げます。
 さて、近年、司法制度改革の潮流の中で、専門士業者間、特に法律関連専門職種間での効果的連携を図ることにより司法アクセスはじめ、国民生活の利便に供し得る体制作りが議論され続けています。「司法ネット構想」「司法アクセスの充実」「ワンストップサービスシステムの構築」それらに関する「国と自治体の責任」「専門家とその団体の役割分担と連携のあり方」等々、いくつかのキーワードで語られています。
 司法制度改革の議論についても、初期の段階では専門職間の垣根論争、法曹人口の拡大などが注目される論点だったようですが、ここしばらくはそれらの論争に一定の答えが得られ、今では、専門資格者間の連携・協働体制のあり方が議論されるようになっています。
 本稿では筆者が長年関わってきた「阪神・淡路まちづくり支援機構」の活動の紹介を通じて、専門家と社会の関わり、大災害と専門家の関わりについて考えてみたいと思います。

2. 阪神・淡路大震災と専門家団体
 もう10年も昔のことになってしまった阪神・淡路大震災。1995年1月17日、連休明けの早暁、阪神間を襲った大震災はマグニチュード7.2という驚愕のエネルギーで日本を代表する大都市を襲い、20万棟を越える家屋が全半壊・全半焼しています。(95年7月の調査では神戸地方法務局管内で全半壊・全半焼は211,470戸、大阪法務局管内では同6,460戸が報告されている― 土地家屋調査士会近畿ブロック協議会編 震災地不動産表示登記報告会 報告資料集より)
 只、立ち尽くすばかりのこの未曾有の大災害を前に、復旧・復興への希望の糸口さえ見つけることのできなかった1ヶ月、2ヶ月が過ぎ、住民が明日の生活を考えられるようになったのはコートを着なくても外出できるようになったころからでした。
 被災地には当初の数ヶ月で延べ130万人のボランティアが訪れ(96年1月25日付朝日新聞)ましたが、本格的な復旧・復興のためのまちづくりのためには身の回りのお世話や当面の生活の場の確保の段階から一歩進んだ取り組みとなるため、プロの参画が欠かせないものとなります。それまでにも被災地には専門家といわれる方々が大勢被災者と被災地の支援に取り組んできました。
 しかし、ここでは、単一の資格・専門職というのみでは到底解決することができないという大規模災害の被災地特有の複合的な問題への対応と解決が必要であるということに気がつくことになります。
 例えば隣の家が我が家の建物に倒れ掛かってきているという相談から端を発して、大災害と民家の被害、隣地建物の倒壊による隣接住家の被害といった純法律問題、解体と撤去、狭小宅地への建築の可能性の検討、関連法令の改正による既存不適格建築物問題の解決、境界の不明とそれを原因とする紛争の発生、被災で犠牲になられた方の相続問題、税金の対応、被災地における不動産価格の鑑定の難しさ、必要なお金の手当て、零細町工場の従業員の解雇または確保、登記手続き等々、多岐にわたる問題の解決を同時進行で検討する必要があり、どれ一つ欠けても復旧・復興の光は見えてこないという現実があるからです。
 これを資格者の専門分野でみると、弁護士、建築士、土地家屋調査士、税理士、不動産鑑定士、司法書士、社会保険労務士など、多くの分野に及ぶことになります。

3. 弁護士会のリードで専門家横断組織
 震災から8ヶ月を経た95年9月、神戸弁護士会(現・兵庫県弁護士会)と、大阪弁護士会から土地家屋調査士会近畿ブロック協議会を含む専門家・資格者団体宛に一通の文書が届きました。
 文面では、大災害からの住民の生活の復興、町の復旧・復興のために専門資格者による横断的な支援組織を作ることについてその趣旨などが記され、ついては協働するについて検討の場を持つからと参画を呼びかけるものでした。
 近畿ブロック協議会(当時の協議会長は井上寅雄・大阪会長)では緊急役員会の席上で協議の上、準備会に参加することを決定(担当者として当時大阪会副会長だった筆者が指名された)。以来月2~3回のペースで準備会が開催され、日本で初めての取り組みとなるこの組織創設への関係者のいわば共闘が始まることになりました。
 司法制度改革の議論の中で専門家の協働や、司法アクセスの向上などが議論される4年も前のことです。
 当時大阪弁護士会から出向の斉藤浩弁護士、神戸弁護士会から出向の森川憲二弁護士の両弁護士が中心となって準備会をリード、資格者の所管省庁も、団体の性格も、また構成員の考え方も異なる資格者団体間の意見・主張の調整、兵庫県はじめ関係自治体との折衝等の幾多の困難を乗り越え、文字通りの大激論を交わしながらの作業でしたが、両弁護士の熱意に引っ張られながら、参加団体も決まり、資金面の手当ての目途もついたのは96年の夏になってからのことでした。
 このとき参加された資格者団体は大阪弁護士会、神戸弁護士会、近畿税理士会、土地家屋調査士会近畿ブロック協議会、社団法人日本不動産鑑定協会近畿会、社団法人日本建築士協会近畿支部、近畿建築士会協議会、建築士事務所協会近畿ブロック協議会、近畿司法書士会連合会(参加順)の6資格・9団体です。(このほか協力団体として社団法人日本建築学会近畿支部、都市住宅学会関西支部が参加)

4. 大災害と専門家連携による活躍
 こうして幾多の困難な条件をクリアして「阪神・淡路まちづくり支援機構」として創立総会の開催に漕ぎつけたのは震災から1年7ヶ月余を経た96年9月4日でした。
 代表委員に、元日弁連会長の北山六郎弁護士と京都府立大学学長(当時)の広原盛明教授を選任、更に付属研究会を置いて法律系、社会学系、理系のそれぞれの分野の著名な学者と実務家による研究・提言体制も整えられました。
 以来、各資格者団体から運営委員・事務局委員などが出向、参加団体の会員から活動協力者を募り、県・市町とも連携を図りながら、被災地の現場に出向いての相談活動、まちづくり協議会などからの支援要請に応えていくことになります。
 一つの事案に対して各資格者団体から出向の会員が合同会議を開いて問題打開の方策を探り、必要な専門分野の方々が一体となって対応し、多くの案件で成果を上げてきています。兵庫県土地家屋調査士会の会員を主軸とする土地家屋調査士会近畿ブロック協議会からの参加者も震災で判らなくなった土地の境界問題や、狭小宅地のビル化による再建問題やマンションの建替えに関する登記上のアドバイスなど多面的な活動を、関係分野の専門家と一緒になって展開、頼りにされるエキスパートという評価が定着したところでもあります。

5. 現在の支援機構の活動
 冒頭記しましたように、日本列島はいまや災害列島化した感があります。阪神・淡路まちづくり支援機構の地元である阪神地域においても但馬・丹波地方で10月の台風により多くの犠牲者を伴う大惨事が発生しました。支援機構はそういった大災害にいつでも機敏に対応できるように常に臨戦態勢をとり、今回の水害でもいち早く相談体制をとっています。
 もうひとつの活動として、全国各地に(時には外国の大災害被災地にも)出かけて、いつ起こるかもわからない大災害に備えて平時から専門家による横断的な復興支援組織を作ることの重要性を訴えることを続けています。
 それは、支援機構が多くの困難を乗り越えて組織として発足したのは震災から1年7ヶ月も経ってからであったこと、もっと早くこの組織ができていれば、もっと有効に復旧・復興の手助けができたであろうにという大きな反省からに外なりません。
 2000年2月に構成団体の中央組織の後援を得て東京で「被災地まちづくり支援から学ぶ」をテーマにしたシンポジウムを開催したのを皮切りに、有珠、芸予、仙台、新潟などの大規模地震発生地、水害の被災地、静岡、東京、神奈川といった今後大きな災害が予測されている地域に出かけ、専門家団体を回って支援機構の設立以来の経過、その意義、実例などを説明し、実際に設立するところにはノウハウを伝えてきています。既に、静岡、宮城、奈良、東京はじめいくつかの地域では同様の組織が作られ、或いは準備作業中です。
 (静岡では03年1月に支援機構が静岡地区の自治体・専門家団体との共催によるシンポジウムを開催したのを契機に東海地震対策士業連絡会が設立されました。奈良県では本年11月5日に志野・奈良県土地家屋調査士会会長が今年度の幹事役を務める奈良県専門士業連絡協議会の主催でシンポジウムが開催されたばかりです。他の地域でも調査士会の役員が準備会の中核メンバーの一員として奔走されています)
 兵庫県土地家屋調査士会からは、具体的事案への会員さんの参画は勿論、樋口幹典会長が運営委員として、江本敏彦さん、植田豊さんがともに事務局委員として支援機構の運営に携わっているのをはじめ、機構の会議が調査士会館で開催されるときには事務局の皆さんにお世話願うなど、会を挙げてこの活動に取り組んでいただいています。

6. おわりに(専門家による専門家らしい社会貢献)
 最近「社会貢献」とか「ボランティア」とかいう言葉が時代のキーワードのようになっています。ボランティアという言葉には無償の奉仕、草の根的奉仕、人に優しい暖かさといった意味合いで語られることが多いと感じますし、社会貢献という言葉には一種の使命感といった意味合いが含まれているかも知れません。
 私ども専門職能といわれる者、特に業務独占を法定されている国家資格者にとっての社会貢献について考えるとき、最もオーソドックスな形では日常の誠実な業務遂行を通じて国家・社会の利便に供する、安心と安全を供与することが挙げられるかと思います。
 そして、これを有事の場合に当てはめてみると、被災地に出かけて、住民のニーズを的確に汲み取り、機敏に物事に対処する方策を突き詰めると、民間サイドのワンストップサービスを構築することが有用な手段であると考えられるところから、阪神・淡路まちづくり支援機構の取り組みは有事に遭遇したときの専門職能にとっての社会貢献のあり方の一例として、参考になるかと思います。
 平時にはそれぞれ独立した事務所形態、業務形態であっても「いざ鎌倉」の時には数多くの種類の専門家が一堂に会して力を合わせて、「生活の場、生産の場としてのまちづくり」を支援することができる体制、それも個人的な参加ではなく、団体として大きな力を発揮することができる体制を平時から整えておくことがとても重要なことであり、それこそが大災害の被災地における専門家の専門家らしいボランティア、社会貢献であるとの想いを強くしている昨今です。
(阪神・淡路まちづくり支援機構・事務局委員)
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2004.12.01(Wed)06:38 | 8 記事・ニュース・関連
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